

木桶を使った天然醸造、ふくよかな香り漂う麻生醤油

創業当時の味わいを残すため、木桶で醸造を続ける麻生醤油。
令和の今、木桶を使っている醸造場は全国で1%程度と言われています。発酵環境も四季の温度変化にまかせた天然醸造。そのため、毎年同じような味にはなかなかならないのだそうです。
難しさもありますが、木桶には何十年という歳月の中で“蔵付き酵母” “蔵付き菌”と呼ばれる微生物が住み着き、その桶でしか出せない味を生み出してくれます。
桶仕込みの商品は木の呼吸とともに育ち、まろやかで深みのある味わいが特徴です。
使う道具も昔ながら、修理しながら大切に受け継いで

麻生醤油は味噌も木桶熟成、載せる重石も30cmほどもある自然の石を使用しています。空の木桶に味噌を移す“天地返し”の時は石を動かすのも一苦労。
それでも、創業当時のやり方を受け継ぎ、プラスチックや鉄製の道具をできるだけ使わない商品づくりに取り組んでいます。
スコップも大豆を傷つけないよう先を丸く削った琺瑯を使用。年代もののため、壊れることもあるそうですが、自分たちで修理し、長く使うことを大切にしています。
原料も九州各地を探し厳選、美味しさの追及を続けます

醸造に必要な素材は、九州各地を探し周り厳選しているという麻生醤油。
お客様に届ける際に“どういう作り方をしているのか” “どういう原料を使っているのか”をとても大切にしているそうです。
「九州でも良い大豆は採れますし、できるだけ目に見える中で調達して、確かなものを使い続けたいと思っています」。
麻生醤油のスタッフは、食への熱意がある人ばかり。麻生醤油の商品には“先人たちが残した知恵” “歴代のスタッフの美味しさを追求した思い”が詰まっています。
手作業のため少量生産、心に伝わる味は全国へと広がります

手作業のため、大量生産はできないという麻生醤油の商品。
昔から受け継がれている木桶や厳選した原料、大切に使い続けてきた道具、そしてそれらを守り続けてきた人。決して一朝一夕では生まれない、長い歴史の一粒一粒が、木桶の中の醤油や味噌を熟成させ“ふくよか”で“心も満たされる香り”を生み出しています。
古格を保ちながらの商品づくり……簡単ではないものの、麻生醤油にしか出せない「味」を追求し、これからも進み続けます。

麻生醤油醸造場 代表取締役 麻生 隆一朗
祖父の代から受け継いだ木桶。多くの醸造場が扱いやすさを重視した道具に切り替えていく中で、文化として守っていきたいと思っています。
口にした人が幸せな気持ちになれて、家族で食卓を囲む時間が、一番安らげる時間になる……そんな食品を届けることができるよう “原点に立ち返る”ことを忘れずに、これからも商品づくりに励みます。